守君へ
完全に消えてしまう記憶など存在しないって、本に書いてありました。
記憶は、透明度の高い泉のようなものに
沈んでは浮かび、浮かんでは沈むことを繰り返してるって。
でも、、どうか、どうかお願いです
沈みきってしまう、
その前に、あなたのそのたくさんの表情の記憶を
もう一度だけ、強く私に思い出させてください。
怒った顔も、泣いた顔も、悲しい顔も、微笑んだ顔も。
私が、つらいとき
あなたはいつも、「大丈夫だよ俺がいる!」といってくれました。
ありきたりのくさい言葉だったけど、
励ましたらいいのか、ただうなずいてればいいのか、
迷いながらもそうやって、一生懸命考えた後に、
勇気を振り絞るようにしてそういってくれたあなたの言葉は
何よりも、私に一番の勇気をくれました。
だけど
この踏みしめている大地も、
この見上げたところに広がっている大空も、
全部私と生きて共有しているあなたは、
飛行機で行けば、朝と昼の間の時間くらいで会うことができるのに
なんだか、もっと、ずっとずっと遠い所にいる人のようです。
あなたの事を考えていたら
今日はほんとに会いたくて会いたくて
そんな気持ちでいっぱいになって
心のそこから泣けてきました。
記憶が沈む前に
わたしを強く抱きしめて
いやというほど、
あなたのそのいろんな表情を
また、私にやきつけに、
会いにきてください
追伸
この手紙は、あなたには届けません。
あなたに気持ちを持っていかれてるみたいで、
かっこ悪くて、恥ずかしいから。
でも、いつかこの手紙を開くとき、
あなたと私が、お互いにすぐそばに、
手の届く距離にいたら、うれしいな。
守君、大好き。
心の中にいつもあなたがいるよ。
リカナ